韓国の悲劇 2012 8 26
今回の日本と韓国の間で起きた政治的緊張は、
不可解なものを感じます。
韓国は、竹島(韓国名は独島)を実効支配していますから、
本来であれば、あるいは国際的な常識で考えれば、
「静かな外交」をすべきでした。
それに対して、日本政府は、型どおりの抗議を繰り返す。
これで何も問題なかったはずです。
そもそも、日本の庶民は、竹島には関心が低かったのです。
政治に無関心な人は、そういう問題があることすら知らなかったと思います。
ところが、韓国の国家元首である李明博大統領が、
竹島に初めて上陸したことにより、
日本のテレビで繰り返し放映され、
こうした領土問題が、日本の一般大衆に知られることになったのです。
あるいは気づかれることになったのです。
これでは、日本の政治家は、竹島問題に関しては、
強気の姿勢を取らざるを得ないでしょう。
うっかり弱気の姿勢を見せれば、一般大衆から突き上げが来るからです。
結果的に言えば、韓国の李明博大統領は、
日本の一般大衆に領土問題を気づかせたということになります。
本来であれば、このような啓発は、日本の政治家が行うべきです。
しかし、日本の政治家は、韓国との経済的な関係に配慮して、
こうした啓発を控えていた経緯があります。
さて、軍事的な面からみれば、
韓国を取り巻く国際情勢は厳しいものがあります。
先軍政治を掲げる北朝鮮だけでなく、軍事拡張を続ける中国の存在もあります。
まず、考えられるのは、韓国の植民化です。
日本の場合は、周りを海で囲まれていますので、
そう簡単に攻め込むことはできません。
韓国の場合は、中国と陸続きです。
北朝鮮と中国は軍事同盟の関係にありますから、そうなります。
しかも、黄海は、中国から見れば、
すべて「自分たちの海」を考えていますから、
海から見ても、韓国は中国と接しています。
中国の軍事指導者は、領土拡張のため、こう考えるでしょう。
「まず、韓国を落とすか、植民地化する」
それは、中国からは、韓国の存在は、こう見えるからです。
太平洋を川と見立てれば、親米国家の韓国は、
アメリカが「背水の陣」を築いているように見えるでしょう。
兵法家としては、このような陣形は、早く解消したいでしょう。
これに対して、韓国の政治家は、
「そんなことは、言われなくても、わかっている」と言うかもしれません。
「わかってはいるが、どうにもならない。
軍事では、票は取れない。
反北朝鮮デモや反中国デモでは、人が集まらないが、
反日デモでは、いくらでも人が集まる。
つまり、反日ならば、いくらでも票が取れる」
いつの日にか、北朝鮮は、南進するでしょう。
そして、中国とは、黄海で接しているのです。
つまり、「陸からやってくる北朝鮮」と「海からやってくる中国」が想定されます。
その時、韓国は、どうするのか。
韓国は、中国が国際協調派の胡錦濤政権だから、のんびりしていられますが、
次の政権は、国際協調派とは限らないのです。
今回の日本と韓国の騒動で、得をしたのは、中国となるでしょう。
日本と韓国は、失うものばかり目立ちました。
確かに、日本と韓国の間には、「歴史問題」があります。
しかし、韓国が「過去にこだわって、未来を失う」ことになれば、
それは、悲劇です。